私はなぜこの人に触れているのだろう。ふとワークをしながら考えた。何の為に私はこの人に触れているのか。彼女自身がアーティストであるように、彼女の肉体はアーティスティックだった。彼女の存在、肉体、精神、魂もアートだとしたら私はここで何をしているのだろう。私が介入し、何かを「直して」「整った身体」にしようというのか。この優れた芸術を左右対称のつまらないものにしているのだとしたらなんてエゴイスティックで不幸な事だろう。
一瞬何も出来なくなった。
彼女自身がまぎれもなくアートだ。間違えなくアートであるなら私は何を欲するのだろう、アーティストの彼女は何を望むのだろう。
胸に湧き上がる感動、動き、振動、コネクションと流れ。
それだった。彼女がそれにアクセスするために私はこの人に触れているのだった。